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2021年、順天堂大学医学部付属順天堂医院で内視鏡検査を受けた72歳の女性が、検査後2日で急逝するという痛ましい事件が発生しました。
この出来事は、医療現場における検査の適切性やリスク説明の重要性を再認識させるものとして、大きな注目を集めています。
今回はこの事件を深堀りしていきます。
順天堂医院での内視鏡検査後の急死事件【原因と背景】
事件の概要
- 発生日時: 2021年2月
- 場所: 順天堂大学医学部付属順天堂医院(東京都文京区)
- 被害者: 72歳の女性
- 検査内容: 内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)および胆道鏡検査
- 死亡までの経緯: 検査終了から約10時間後に腹痛を訴え、2日後に急性膵炎で死亡
検査の詳細と問題点
- 検査の実施経緯:
- 女性は血液検査で肝臓や胆管の数値に異常が見られ、専門的な検査を勧められました。
- 2020年12月、順天堂医院の消化器内科を受診し、教授から「胆管炎が疑われるため、しっかり検査したい」との説明を受け、2021年2月に検査入院しました。
- 検査内容:
- 内視鏡を用いて十二指腸まで挿入し、X線撮影で診断するERCPを実施。
- ERCPで特に異常が見つからなかったものの、教授は胆管を直接調べる胆道鏡検査を追加で実施しました。
- 胆道鏡を挿入するため、バルーンを使って胆管の入り口を2回にわたり拡張しました。
- 問題点の指摘:
- 外部調査機関の報告書では、検査中に胆管が損傷され、急性膵炎の発症につながった可能性が指摘されています。
- ERCPで異常が確認されなかったにもかかわらず、追加で胆道鏡検査を実施したことが「適切とは言い難い」と評価されました。
- 検査前のリスク説明が不十分であり、患者や家族へのインフォームド・コンセントが適切に行われていなかったとされています。
遺族の主張と法的対応
- 遺族の訴え: 「必要のない検査で命を落とした」として、順天堂医院と担当教授を相手取り、約2億2000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に提起しました。
- 医院側の対応: 順天堂医院は内部調査で「検査の実施は適切で、死亡に関わる有害事象は発生していない」と報告し、訴訟の棄却を求めています。
医療事故調査制度の役割
- 制度の目的: 医療中の予期せぬ死亡事例の原因を調査し、再発防止につなげることを目的としています。
- 調査の流れ:
- 医療機関は内部調査を行い、その結果を医療事故調査・支援センターや遺族に報告する義務があります。
- 遺族は結果に不服があれば、センターに再調査を求めることができます。
- 今回のケース: 外部調査機関の報告書では、検査の適切性やリスク説明の不足が指摘され、関連学会への注意喚起が求められました。
再発防止に向けた提言
- 検査の適切性の再評価: 患者の状態やリスクを総合的に判断し、必要最小限の検査を選択することが求められます。
- リスク説明の徹底: 患者や家族に対して、検査の目的、方法、リスク、代替手段について十分な説明を行い、納得の上で同意を得るインフォームド・コンセントの徹底が必要です。
- 医療従事者の教育強化: 最新の医療技術や倫理に関する継続的な教育を通じて、医療従事者のスキルと判断力の向上を図ることが重要です。
まとめ
順天堂医院での内視鏡検査後の急死事件は、医療現場における検査の適切性やリスク説明の重要性を強く示す事例となりました。
患者の安全を最優先に考え、医療従事者と患者・家族との間での十分なコミュニケーションと信頼関係の構築が不可欠です。
再発防止に向けて、医療機関全体での取り組みが求められています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。